【あたたかい気持ちのおすそ分け】ある雪の日の出来事から

 打ち合わせや相談、手続き等、いつも地域の方が立山町教育センターにいらっしゃって、いろいろなお話をしてくださいます。特に学校の取組や子供たちの様子についてのお話が多く、私たち職員も耳を傾けながら仕事をしています。

 

 10日ほど前でしょうか。

 町内の小学校にお勤めだった元校長先生から・・・

 「知り合いの方から、『雄山中学校の生徒に大変お世話になった。感謝の気持ちを伝えたいけれど、名前も分からないし、どうしたらよいか』と相談を受けた。」とのこと。

 詳しくお話をお聞きすると、今年2月、急な大雪が下校中の子供たちを直撃し、大人も子供も難儀した日の出来事でした。

 その知り合いの方は大雪の中、お孫さんを迎えに学校へ向かわれたのですが、雪道で車が動かなくなり、立ち往生の状態になったそうです。

 なす術なく困っておられたところ、通りかかった下校中の中学生が力を合わせて、車を押してくれました。そして、車が動く状態になると、中学生たちは笑顔で榎町駅の方へ去っていきました。

 伝え聞いたいお話なので、若干事実と異なるニュアンスもあるかもしれませんが、大筋としてはこのような出来事だったようです。

 「雪の中、濡れることも厭わず、助けてくれた中学生に、ぜひ、お礼を言いたい、雄山中学校にこのことを伝えたいと思いながら、どうしたらよいかわからず、時間が経ってしまった。」というお知り合いの言葉を受けて、来所された元校長先生が「雄山中学校に伝えてもらえないか」と本センターに話されたというわけです。

 

 たしかに悪天候のため、中学校の駐車場付近でも車が渋滞したり、バスや電車も止まったりして、多くの子供たちが足止めされた日がありました。吹雪で髪の毛が凍るような寒さの中、対応に追われたのを覚えています。

 中学校の先生方が駅で子供と一緒に待機したり、保護者に連絡したりする中、立山町教育委員会の要請で、臨時のスクールバスが子供たちを送り届けてくれました。駐車場で動けなくなった車を子供たちが押す場面も幾度か目にしました。今回、お聞きしたように、学校から離れた場所でも、困った人を当たり前に助けられる中学生がいたということですね。

 あたたかい気持ちとともに、誰かの記憶に残るというのはすてきなことだと思いました。また、感謝を伝えたいというお気持ちをもち続けられ、めぐりめぐって届くというのも、またすてきなことです。

 雄山中学校にお伝えするのはもちろんのこと、ホームページでも、ご紹介させていただきました。

 ある雪の日の出来事から  ―   あたたかい気持ちのおすそ分けです。